2026年3月16 日 川崎から公害をなくす会
1. 環境基本計画の役割の一つとして、「長期的な目標や施策の大綱などを提示」することが掲げられて います。この点、大気や水・化学物質等について言えば、国の環境基準の達成をもって、対策の推進を止めたり一休みするようなことがあってはならないと思います。国の基準は、あくまでもナショナルミニマムであって、大企業が密集しかって公害激甚地と言われた川崎市にあっては、もっと高い水準の環境の目標を目指すべきです。
① 二酸化窒素の市環境目標値の達成をはじめ、光化学オキシダントの環境基準の達成についても、 一刻も早く実現すること。
② 二酸化窒素やPM2.5に関する、WHO指針値の達成に向けた計画を立てること。
| W H O 指 針 値 (2021年9月公表) | ( )内は質量濃度を容積 濃度に換算した数値 | ||
| NO2 | 年平均 10 μg/m3 (約0.005ppm ) | 日平均 25 μg/m3 (約0.012ppm ) | |
| PM2.5 | 年平均 5μg/m3 | 日平均 15μg/m3 | |
③ 今後、環境問題全体について、“快適アメニティ-の実現”を行政の目標とすること。
2. PM2.5をはじめとする大気汚染は、狭義のぜん息や慢性閉塞性肺疾患だけでなく、肺がんや脳卒中・虚血性心疾患・急性下気道疾患などの死亡原因になっていると云われています。これに関し、横浜市が横浜国立大学と一緒に、現状の大気汚染濃度をもとに健康影響が認められない数値を達成した場合、同市で低減できる年間死亡者数等の評価を実施していますが、川崎市でもこれと同様、その場合は改訂されたWHO指針値を用いて推計してもらえないだろうか。(参照:大気環境学会誌2022年57巻4号「2000-2018各年のNO2濃度に基づく横浜市での定量的健康影響評価」中井里史ほか)
3. 前項とも関連して、神奈川県健康医療局の「県内市区町村の疾病・医療費関連デ-タ分析」(2019年7月)のうち、政令市の川崎市について見ると、全死因の標準化死亡比は川崎区・幸区で高く、麻生区で低くなっています。さらに、主要死因別の標準化死亡比で川崎区が第1位となっている疾病として、心疾患・脳血管・肺炎・慢性閉塞性肺疾患が、またがんのうち、気管・気管支及び肺が挙げられています。従って、大気汚染から市民の健康をまもるため、特に川崎区など市南部における大気汚染対策について、特段な推進・強化が必要であると考えます。
4. 大気中の粒径0.1μm以下の粒子を「超微小粒子(UFP)」と言いますが、近年WHOもガイドラインでその影響を注意喚起するなど、注目されてきています。「かんきょう白書」に取り上げるようになるのは、大分先のことと思われますが、安全性の観点から全国の大学や研究機関が実施している成果だけでも、ひろく市民に知らせてもらいたい。
5. 光化学スモッグ注意報が、9年前と同じ9日も発令されているのは異常事態です。原因物質である窒素化物等の削減を強化することが、微小粒子状物質の濃度低下にもつながるのでさらに対策を推進すべきです。
6. 熱中症の予防のために、適応策が強調されていますが、それ以上に二酸化炭素等の温室効果ガスの削減を基本に対策を進めるべきです。
7. 市役所本庁舎の完成とともに、大気汚染濃度の表示盤が元第3庁舎から移設されましたが、相変わらず市庁舎に用事があった人の目に触れるのが中心のような状況になっています。新しく出来た「市役所前自排局」の看板も無いのだから、ここに移せば歩行者の関心も引くことになるので検討してもらいたい。
8. 最近の公園緑化などを見ていると、どうも人工的な緑の造成に偏っているように感じられます。人口過密の川崎には、もっと本物のみどり・植物が欲しい。安易な大木の伐採はやめ、もっと大規模開発を規制すべきです。
9. 過去ずっと減少してきた農地の保全面積が、前年度より増加したのは結構なことですが、これはどのような理由で増えたのか知りたい。(P16)
10. 大気中水素濃度の変動による、大気環境への影響が指摘されているとして、東京都の環境科学研究 所と都立大学が数年前から水素の測定を行っています。川崎市も臨海部に水素基地を作る計画とのことなので、稼働する前の段階から調査を開始することも必要かと思料されるので検討されたい。
