「計画段階環境配慮書」に対する意見(25/6/2)に続けて、次の「方法書」に対する意見の提出を行いました。
「(仮称) 扇町天然ガス発電所建設プロジェクト 環境影響評価方法書」に対する意見
2026年1月22日提出 神戸治夫 (川崎から公害をなくす会会長)
(1) 環境影響評価を実施するに際しては、当然ながら現存する公害健康被害の実態を直視し実施する 必要があること。川崎市内には、いまも2万人近くの気管支ぜん息患者や(2024年度の医師会調査で 19,170人)、 熱中症による被害者 (2025年の救急搬送者数659人)などがいる。その中には死亡者も出ている。PM2.5等による、循環器系疾患の死亡も増加している。
(2) 今日、地球温暖化防止が世界の焦眉の課題となっている。 国家目標はもちろん、国際社会が求めて いる産業革命前からの地球の温度上昇分「摂氏1.5度以下」と整合性が保たれる計画にすべきである。 そのためには、単位発電量あたりの二酸化炭素排出量の削減だけでなく、総排出量の大幅削減が必要 だ。また、「2035年までに電力部門の大宗を脱炭素化する」(G7気候・エネルギ-・環境大臣会合コミ ュニケ、2022年5月)との目標を充分留意する必要がある。
(3) 窒素酸化物の影響評価にあたっては、環境保全水準としての川崎市の環境目標値である(日平均値 0.02ppm以下)を尊重すること。また新設されるガスタ-ビン・コンバインドサイクル発電設備の設 置場所は、隣接する川崎天然ガス発電所1・2号機の煙突による影響も含め、単独で拡散計算をするの でなく複合して実施すること。同じ扇町にあるJR火力ほかの発電所排出ガスの影響も、バックグラウ ンドとみなすにはその存在は大きすぎる。
(4) 天然ガスの燃焼からは、浮遊粉じんの発生はないとしているが、窒素酸化物が発生される以上光化 学オキシダントやPM2.5が生成される原因となる。とりわけ人体に深刻な影響をもたらすPM2.5対策 に万全を期すこと。そもそも、二酸化窒素の環境基準は財界・大企業のごり押しで改悪されたもので あり、PM2.5のそれも甘いのだから、国の「基準環境達成」しているからと云って、対策に手抜きが あってはならない。人体への影響を考えると、環境基準や目標値の評価では、短期的評価(1時間値)が 特に重要である。
(5) 煙突の地上高さは80mを計画しているが、隣接する川崎天然ガス発電所1・2号機の煙突は102mで あり、また今回の扇町火力発電所の設置計画では、川崎天然ガスが一度計画していた発電所3号機の建 設計画予定地と全く同じ場所、しかも同じENEOSの敷地内なのだから、煙突高は102mであって一向 に構わない。「高煙突拡散方式」は必ずしも良しとしないが、煙突が高くなれば着地濃度はその分低 下する。脱硝装置の設置により窒素酸化物の排出がゼロになるのなら別だが、煙突高については充分 検討してもらいたい。建設費用の増加と人の健康・環境の、どちらを優先するかが問われる。
(6) 化石燃料の消費の減少が、世界的に求められているなか、企業として「国の主電源」である自然・ 再生エネルギ-の生産に最大限努めてもらいたい。現状は余りに、東京湾沿岸に化石燃料の火力発電所が密集し過ぎているのではいないかと思う。
