2024年1月15日
温暖化防止と脱炭素のために~公害住民団体からの要請(提言を含む)
川崎市環境局脱炭素戦略推進室 御中
川崎から公害をなくす会 会長 神戸治夫
以下の項目が、市の戦略として実現されることを希望します。
(要請)
- 国が公表しているように、川崎市の二酸化炭素排出量の部門別構成比について、「電気・熱配分前」のものを作成し公表すること。
- 前項の「電気・熱配分前」にもとづき、温暖化防止と脱炭素対策を推進すること。
- 二酸化炭素を大気汚染物質とみとめ、公害規制対策を進めること。
(理由)
- 昨年は、世界の温室効果ガス排出量・平均気温とも過去最高となり、国連事務局長は「地球沸騰化の時代に入った、気候崩壊の始まり」と発言しました。本市においても、歴史始まって以来の高温がつづき多くの熱中症等の健康被害が発生しました。
- 現状のままでは、産業革命以前と比較した気温上昇を1.5度C以内に抑えることが困難とされており、2023年には1.4度Cになることが見込まれています。また、COP28では「化石燃料からの脱却」「再生エネルギ-を2030年までに3倍加する」ことなどが合意されました。
- 国際エネルギ-機関が2021年5月に発表した「Net Zero by2050」によると、2040年までに世界の電力部門における二酸化炭素の排出をゼロにするとしています。
- 先のCOP28では、他の先進国に比べ石炭火力や原発に固執する日本の取り組みについて、各国から特に世界のNGOから「化石賞」授与など厳しい批判が寄せられました。
- 環境省のホ-ムペイジでは、我が国の二酸化炭素の部門別排出量について「電気・熱配分前」と「電気・熱配分後」の二種類を載せています。概して言えば、配分を排出量を生産者側でみるか消費者側で見るかの違いであるが、今日の深刻かつ重大な状況を直視するならば、私たちは前者の方が温暖化解決により有効であると考えます。
- 現在、多くの自治体は「電気・熱配分後」で行政を進めていますが、これは一般市民に対し削減努力を求めることに重点を置いているように思われ、火力発電所など大手発生源企業等の責任が不明確にされる危険性があるのではないかと考えます。「電気・熱配分前」ならば、この点の改善が図られます。
- 環境基本法第8条4項は「環境への負荷の低減」が事業者の責務とされ、改正前の市公害防止条例では、温暖化物質の排出量について報告を求め市民に公表することが義務付けられていました。また、神奈川県など一都三県では二酸化炭素環境濃度の測定が行われていた。
- 現在、川崎市が発表している温暖化物質排出量のデ-タは国の報告制度に依るものであり、時に算定方法が変わったり、年間排出量も長期間「暫定値」とされたりしています。国からの発表に頼らず、自治体として責任ある排出量を公表すべきです。
- 以前、私たちは工場・事業所からの二酸化炭素の抜本的削減のため、二酸化硫黄や二酸化窒素にならい煙突出口や敷地境界線での調査や総量規制を提案しています。大気汚染公害防止協定の活用も望まれます。
- 一酸化炭素(CO)は、現在大気としての環境基準があります。すでに健康被害・死亡を出している二酸化炭素(CO2)についても、公害物質と認めることに何ら問題はないと思う。
- いまこそ、世界と市民が求める二酸化炭素抜本的な大幅削減のためには、これまで実施してきた公害対策の経験と教訓が生かされるべきです。