調査活動

住民(なくす会)による大気汚染の調査結果(PM2.5・放射能・NO2)のまとめ

40周年以降、約10年の大気汚染調査活動としては、この間大きく改善されていない微小粒子状物質(PM2.5)及び二酸化窒素(NO2)、そして東電第一原発事故による放射能などの測定を中心に実施してきました。以下その概要をまとめました。

Ⅰ. 微小粒子状物質

2013年11月の第1回調査から2018年9~11月の第14回調査まで、様々なテ-マを設定し実施してきました。ここでは、その詳細は割愛し主な結果の概要のみ紹介します。なお測定は、会員所有の柴田科学(株)のデジタル粉じん計LD-5を使用。1回の測定時間は、全体として約3分間で一部5分間の連続測定でした。

(1). 市内における、汚染の全体を調べる 〔鉄道各駅・多摩川両岸〕

A〔鉄道各駅〕

① 測定日2013年11月5日(火) 午前8時より午後7時まで。天気は晴れ
② 測定結果各駅ごとの、各種測定値は表-1の通りで、PM2.5については最高値が56μg/m3、最低値が15μg/m3、平均値は22μg/m3でした。なお、駅の所在地を区別に整理した平均値、及びワ-ストファイブは次の通りです。

イ.区別の結果

測定数測定値(μg/m3)
川崎区1020.8 μg/m3
幸区519.4 μg/m3
中原区821.3 μg/m3
高津区619.7 μg/m3
宮前区320.0 μg/m3
多摩区722.7 μg/m3
麻生区629.7 μg/m3
全 市4522.0 μg/m3

ロ.ワ-ストファイブ

第1位小田急百合ケ丘駅56 μg/m3
第2位小田急生田駅34 μg/m3
第3位京急鈴木町駅31 μg/m3
第4位小田急栗平駅30 μg/m3
第5位JR武蔵小杉駅25 μg/m3
(以下、第6位は向ヶ丘遊園・よみうりランド前・柿生の24 μg/m3)

ハ.市内鉄道各駅における結果

番号測定場所(駅名)測定開始時間温度
(度C)
湿度
(%)
風速 (m/s)
最大 / 平均
カウント数質量濃度
(mg/m3)
同 左
(μg/m3)
1京急小島新田8:0021.136.82.1 / 0.7550.018318
2京急産業道路8:1322.644.60.5 / 0.1610.020320
3京急東門前8:1919.936.30.9 / 0.2610.020320
4京急川崎大師8:2522.834.30.2 / 0.1610.020320
5京急鈴木町8:3122.933.81.8 / 0.3920.030631
6京急港町8:3722.631.31.0 / 0.2560.018619
7京急川崎8:4820.234.80.6 / 0.1580.019720
8JR八丁畷9:0222.732.30.3 / 0.1620.020621
9JR浜川崎9:2023.631.21.7 / 0.7610.020320
10JR川崎新町9:4520.831.52.7 / 0.6580.019319
11JR尻手10:2321.231.91.0 / 0.3600.020020
12JR矢向10:3120.832.31.3 / 0.3560.018619
13JR鹿島田10:4520.232.82.2 / 0.7590.019620
14JR平間10:5520.435.01.8 / 0.3630.021021
15JR 向河原11:0619.933.62.3 / 0.6620.020621
16JR武蔵小杉11:2020.332.12.2 / 0.5560.018619
17東急新丸子11:3220.430.61.3 / 0.4570.019019
18東急元住吉11:3924.926.30.6 / 0.1640.021321
19JR武蔵中原12:4025.824.01.0 / 0.3680.022623
20JR武蔵新城12:4927.222.21.2 / 0.2630.021021
21JR武蔵溝ノ口12:5827.923.50.5 / 0.2580.019319
22東急二子新地13:1025.925.70.9 / 0.2600.020020
23東急高津13:2123.329.11.3 / 0.6660.022022
24東急鷺沼13:3624.226.40.6 / 0.2550.018318
25東急宮前平13:4524.327.00.9 / 0.3700.023323
26東急宮崎台13:5123.725.50.6 / 0.2580.019319
27東急梶ヶ谷14:0324.527.00.1 / 0.1600.020020
28JR津田山14:1724.525.20.5 / 0.2530.017618
29JR久地14:3228.424.20.2 / 0.1580.019319
30JR宿河原14:3825.325.21.1 / 0.2590.019620
31JR稲田堤15:0324.724.70.4 / 0.1460.015315
32JR中野島15:1723.427.30.8 / 0.3570.019019
33小田急登戸15:3523.529.80.5 / 0.2690.023023
34小田急新百合丘15:4922.132.00.9 / 0.4670.022322
35小田急柿生15:5524.129.70.6 / 0.1 730.024324
36小田急五月台16:1622.131.70.5 / 0.1 690.023023
37小田急栗平16:3120.836.00.9 / 0.3 900.030030
38小田急黒川16:4421.734.00.0 / 0.0 680.022623
39小田急百合丘16:5622.134.00.4 / 0.41670.055656
40よみうりランド17:0621.736.40.1 / 0.0710.023624
41小田急生田17:2020.837.41.9 / 0.51030.034334
42小田急向丘遊園17:2921.233.20.1 / 0.1720.024024
43JR武蔵小杉18:1021.837.70.8 / 0.2 750.025025
44JR新川崎18:2719.738.00.6 / 0.2 580.019319
45JR川崎18:5519.638.01.0 / 0.4 580.019319
注:1. μg/m3への変換は四捨五入。2.気温は一部陽射しの中のものがあり。3.武蔵小杉-16は南武線で43は横須賀線。

B〔多摩川両岸〕

① 調査日1回目 2014年9月17日(水) 午前8時から12時01分  曇り
2回目 2014年9月18日(木) 午前8時から12時06分 曇り後晴れ
② 結果全体として濃度が低い日でしたが、橋ごとの比較では上流よりも下流(大師橋・六郷橋)の方が高い傾向が見られました。

グラ-① 川崎側2日間の結果

多摩川 川崎側2日間のグラフ

グラフ② 東京側2日間の結果

多摩川 東京側2日間のグラフ

グラフ③ 9/17  川崎・東京側平均

9月17日 川崎・東京側平均グラフ

グラフ④ 9/18  川崎・東京側平均

9月18日 川崎・東京側平均グラフ

(2). 発生源を対象とした調査 〔臨海部工場地帯・幹線道路〕

A〔臨海部工場地帯-夏調査〕
① 調査日1回目 2014年7月 21日(月・祭)  午後19時08分~21時44分、曇り
2回目 2014年7月22日(火)   午前7時45分~10時52分、曇り後晴れ
3回目 2014年7月23日(水)   午後19時05分~21時29分、曇り
4回目 2014年7月24日(木)   午前7時42分~10時15分、 曇り
② 結果4回の測定(日)とも、かなり高い濃度が測定されました。測定日ごとでは7/23の夜が平均93.3μg/m3と最も高く、一番低かったのは祭日でもあった7/21の夜の35.5μg/m3でした。簡易測定機であり時間も短時間なため、環境基準との直接の評価はできませんが、7/22の朝と7/23の夜はすべての地点で、また7/24の朝は1地点を除くすべての地点で環境基準(日平均35μg/m3)に相当する数値を越えていました。4回を通しての最高値は、7/23夜/ 扇町駅前の127μg/m3で、最低値は7/21夜/ 水江・日立造船入口の28μg/m3でした。
  7/21夜7/22朝7/23夜7/24朝4回の平均
1 日清製粉バス停前公園333910010268.5
2 JR浜川崎駅前385311511079.0
3 JR扇町駅前39471277672.3
4 水江・日立造船入口2840754346.5
5 南部リサイクルセンタ-前2936925452.8
6 ちどり公園入口3548885055.3
7 東扇島中公園2936633340.3
8 東扇島西公園3337773545.5
9 殿町・下河原公園614912111586.5
10浮島・浮島中央バス停3048754649.8
平均35.543.393.366.4[59.7 ]
4回の平均グラフ

〔臨海部工場地帯-冬調査〕

① 調査日第1回 2014年 12月17日(水) 午後3時06分~3時42分、晴れ風強 
第2回 2014年 12月19日(金) 午前8時48分~11時40分、晴れ
② 結果冬季である今回の調査結果は、夏季7月に実施した結果と比較し、全体として大分低い濃度でした。測定地点別にみると、12月17日は東扇島西公園が14μg/m3ともっとも高く、12月19日では16μg/m3とJR扇町駅前と水江町の日立造船入口が最大でした。これは、気象条件(特に風速)が大きく影響したものと思われます。

最大風速 / 12/17 東扇島西公園  11.6m/s 、12/18 東扇島西公園   3.0m/s

調査日時等
調査地点
結果(μg/m3) 前回7月平均
12/17午後 12/19午前 2回の平均
1 日清製粉バス停前公園 8 7 7.5 68.5
2 JR浜川崎駅前 3 8 5.5 79.0
3 JR扇町駅前 5 16 10.5 72.3
4 水江・日立造船入口 5 16 10.5 46.5
5 南部リサイクルセンタ前 7 10 8.5 52.8
6 ちどり公園入口 4 11 7.5 55.3
7 東扇島中公園 9 8 8.5 40.3
8 東扇島西公園 14 7 10.5 45.5
9 殿町・下河原公園 6 9 7.5 86.5
10 浮島・浮島中央バス停 3 7 5.0 49.8
平均 6.4 9.9 [8.2] [59.7]
B〔幹線道路〕―工場地帯と市街地道路の比較 / 国道15号線・国道1号線・産業道路間の比較

イ. 工場地帯と市街地の道路の比較

① 調査日
・皐橋・水江線 2013年12月1日(日)~7日(土)の1週間、午後1時半から2時半。
5分間の連続測定。天候はいずれも晴れ。
・市営埠頭線 2013年12月22日(日)~28日(土)の1週間、午後0時から1時半。
5分間の連続測定。天候は26日と27日が曇りで、他は晴れ。
・千鳥町内 2014年1月15日(水)・17日(金)・19日(日)の3日間、開始時間を変えて5分間の連続測定。天候は15日が曇りで他は晴れ。
② 結果 各道路の1週間の平均値について、各測定地点の結果を住宅地域・産業道路・工場地帯に分類してみると、工場地帯の濃度が最も高く、次いで産業道路・住宅地域の順でした。

<1週間の平均値>

(信号機名)イ. 皐橋・水江線
1 藤崎4丁目18.6μg/m3
2 池藤橋17.1μg/m3
3 桜本中入口19.0μg/m3
4 臨港署前20.7μg/m3
5 池上町21.7μg/m3
6 水江町20.3μg/m3
7 水江町東側21.7μg/m3
(信号機名 等)ロ. 市営埠頭線
A 藤崎1丁目12.0μg/m3
B 大師公園前14.9μg/m3
C 四谷上14.6μg/m3
D 塩浜15.0μg/m3
E 夜光17.7μg/m3
F 昭電前T字路18.1μg/m3
G 海底トンネル入口15.9μg/m3
H 市営埠頭バス停17.0μg/m3

<各道路の地区別平均濃度>

皐橋・水江線

グラフ

市営埠頭線

グラフ

ロ. 国道15号線・国道1号線・産業道路間の比較

調査日第1回 2017年3月10日(金) 午後3時13分から4時30分、天気 曇り
第2回 2017年3月15日(水) 午前10時10分から12時44分、天気 曇り
② 結果各道路の濃度の比較では、1回目は産業道路、2回目は国道1号線が最も高かっが、2回の平均では産業道路(6.6μg/m3) >国道15号(4.6μg/m3) > 国道1号(3.5μg/m3)の結果となった。なお、産業道路のうち田島地区の部分が高いのは、鉄鋼工場などの影響と考えられる。
PM2.5 / 17.3.10グラフ
PM2.5 / 17.3.15グラフ

ハ. 産業道路

調査日第1回 2014年5月22日(金) 午前8時55分から10時47分、天気 晴れ 
第2回 2014年5月23日(水) 午前8時59分から10時45分、天気 晴れ
② 結果今回の測定結果では5月22日に浅田町と田辺新田で、環境基準(35μg/m)に相当する数値を超過していました。また、2回の調査とも、全体として大師地区(5地点)よりも田島地区(5地点)の方が、濃度が高い傾向を示しました。これは、田島の方が自動車交通量が多いことが大きな原因と考えられます。

[2010年度交通センサス= 大師河原 24,100台/12時間、小田31,000台/12時間]

5/22田島地区大師地区 全体
最高値443044
最低値271717
平均値33.820.827.3
5/23田島地区大師地区全体
最高値242124
最低値181616
平均値19.818.419.1
グラフ

(3). 幹線道路からの距離別減衰調査 〔川崎区・幸区〕

① 調査日

  1. 幸区・御幸公園 (国道1号線関係) 車道から0m 50m 100m 150m の4地点
    ① 2015年10月27日(火) 午後1時45分~2時36分、天気晴れ
    ② 2015年10月28日(水) 午前11時00分~11時37分、天気晴れ
    ③ 2015年11月6日(金) 午前9時47分~10時28分、天気晴れ
  2. 川崎区・本町 (国道409号線関係) 車道から0m 50m 100m 150m200mの5地点
    ① 2015年11月13日(金) 午前11時28分~午後0時09分、天気曇
    ② 2015年11月14日(土) 午前8時47分~9時25分、天気曇り
    ③ 2015年11月17日(火) 午前8時30分~9時15分、天気晴れ
  3. 川崎区・中瀬緑地 (国道409号線関係) 車道から0m 50m 100m 150m200m の5地点
    ① 2015年9月28日(月) 午後1時36分~2時05分、天気晴れ
    ② 2015年10月30日(金) 午前9時34分~10時11分、天気晴れ
    ③ 2015年11月18日(水) 午前8時00分~8時40分、天気晴れ
  4. 川崎区・四谷下町 (産業道路関係) 車道から0m 50m 100m 150m200m の5地点
    ① 2015年9月28日(月) 午後3時22分~3時43分、天気晴れ
    ② 2015年11月5日(木) 午前9時02分~9時40分、天気晴れ
    ③ 2015年11月20日(金) 午前9時00分~9時37分、天気曇り

② 結果

① 御幸公園(国道1号)

御幸公園(国道1号)グラフ

3回とも、全体として距離減衰が認められ、特に平均風速0.80m/sの時に顕著な傾向を示した。障害物がない広い空間では、汚染の拡散が進みやすいのかもしれない。

② 本町(国道409号)

本町(国道409号)グラフ

ここでも風速が弱い時、典型的な減衰傾向を示した。それ以外では、汚染は横ばい傾向を示した。建物等に関係しているのかもしれない。

③ 中瀬緑地(国道409号)

中瀬緑地(国道409号)グラフ

3回の中では、風速の弱い0.14m/sの時に減衰傾向が見られた。閉ざされた空間の中では、風が強いと均等に汚染が拡散されるのかもしれない。

④ 四谷下町(産業道路)

四谷下町(産業道路)グラフ

3回の中で風速の弱い2回は、50m地点で濃度の低下が見られたが、全体として減衰は見られなかった。これは、調査道路の幅が狭く、産業道路からの汚染量の移入が少ないことと、直近の工場地帯による影響が大きいことが考えられる。

(4). 地勢を考慮した調査 〔多摩丘陵 / 東生田・中野島 / 加瀬山〕

A. 多摩丘陵 - 高津区 / 蟹ヶ谷・久末地区

① 調査日

ア、蟹ヶ谷1回目 2014年4月  9日(水) 午前9時40分~10時43分、晴れ
2回目 2014年4月20日(日) 午前8時52分~10時11分、曇り
3回目 2014年4月29日(火) 午後0時38分~13時54分、曇り
イ、久末1回目 2014年5月20日(火) 午後1時55分~3時22分、曇り一時晴れ
2回目 2014年5月23日(金) 午後3時52分~5時5分、晴れ
3回目 2014年5月29日(木) 午後7時48分~9時19分、晴れ

② 測定結果
蟹ヶ谷は高台4地点と谷あい 3地点の合計7地点で、また久末は高台・谷あい各4地 点の合計8地点で、両地区とも 3回ずつ測定しました。全体の平均値では、今回、高台と 低地で大きな差がみられませんでした。

全体の結果

高台低地
蟹ヶ谷18.2μg/m319.7μg/m3
久末20.5μg/m319.9μg/m3

ア、蟹ヶ谷地区

蟹ヶ谷地区グラフ
(μg/m3 )

イ、久末地区

久末地区グラフ
(μg/m3 )
B. 多摩丘陵 - 多摩区 / 東生田・中野島地区

調査日

夏:2016年8月3(水)日 午前9時32分~午後1時17分、天気-曇りのち晴れ
4(木)日 午後0時24分~ 午後3時12分、天気-晴れ
冬:2016年12月14(水)日 午前9時50分~午後1時19分、天気-小雨のち曇り
15(木)日 午前9時53分~ 午後1時21分、天気-晴れ

② 結果
東生田3・4丁目地区における調査では、4回の測定日により濃度の差があったが、PM2.5の濃度はすべて低地の方が高台よりも高かった。また、平坦地である中野島地区の調査では、4回実施した調査のうち 道路沿道の濃度が周辺より高かったのは2回、反対に低かったのは1回、同じであったのは1回でした。これは、道路と言っても幹線道路ほどの大量の交通量でないこと、また何よりも、日々の風向や風速など気象条件に関わっているのではないかと推定されました。

・東三田地区のPM2.5の濃度  *各風速は平均風速の平均値、( )は測定値点数

東生田地区(8/3)グラフ

低地 0.15/s
高台 0.15/s

東生田地区(8/4)グラフ

低地 0.48/s
高台 0.23/s

東生田地区(12/14)グラフ

低地 0.43/s
高台 0.27/s

東生田地区(12/15)グラフ

低地 0.38/s
高台 0.42/s

・中野島地区のPM2.5の濃度  *各風速は平均風速の平均値、( )は測定値点数

中野島地区(8/3)グラフ

沿道 0.33/s
周辺 0.23/s

中野島地区(8/4)グラフ

沿道 0.93/s
周辺 0.40/s

中野島地区(12/14)グラフ

沿道 0.20/s
周辺 0.22/s

中野島地区(12/15)グラフ

沿道 0.53/s
周辺 0.57/s

C. 加瀬山 - 幸区 / 北加瀬・南加瀬地区

① 調査日

春季第1回 2014年 3月13日(木) 午前8時52分~11時1分 曇り、時々雨
第2回 2014年 3月25日(火) 午後2時04分~3時36分 晴れ
第3回 2014年 3月31日(月) 午後1時55分~3時38分  晴れ
秋季第4回 2014年11月17日(月) 午前9時04分~10時49分 晴れ
第5回 2014年11月19日(水) 午後0時39分~2時20分 晴れ
第6回 2014年11月21日(金) 午前9時16分~9時57分 晴れ

② 結果
6日間の調査のうち、南方向から北方向に向かって濃度が低下していた(即ち尻手黒川道路に近い、山の南側が高い)のは、第1回(3/13)と第2回(3/25)、第4回(11/17)、第5回(11/19)の4日間でした。なお、 第1回(3/13)調査は、調査中に降雨があり特異日と云うべきかもしれませんが、それでも南方向が全体として高い傾向を示しました。

夢見ヶ崎小(1)山の南側(3)山の上(4)山の北側(3)北の根公園(1)
第1回 (3/13)229220200160156
第2回 (3/25)1816.716.814.714
第3回 (3/31)55.36.356
第4回 (11/17)2118.718.517.319
第5回 (11/19)6542.72
第6回 (11/21)161817.51919
( )内は調査地点数 第1回の3/13は降雨で参考値

(5). ぜん息と汚染との関連性に関する調査 [東名高速道路周辺・麻生区]

A. 東名高速道路周辺
調査日1回目 2014年10月30日(木) 午後1時25分から4時28分、晴れ
2回目 2014年10月31日(金) 午後1時21分から4時22分、曇り
② 結果1回目の測定は、事情により犬蔵地区の測定が3カ所のみの測定であったため、グラフのように、3カ所平均で見てみると、ぜん息千人対患者数とPM2.5汚染との正の関連性が見られました。しかし2回目の5カ所測定では、汚染が1回目より全体として高い濃度を示し、平地区と宮崎地区の間で正の関連性が見られましたが、犬蔵地区とでは負の関連性を示しました。

10月30日 (3カ所平均)

10月30日グラフ
喘息の千人対は人、PM2.5はμg/m3

10月31日 (5カ所平均)

10月31日グラフ
B. 麻生区 ― その1
① 調査日1回目 2015年2月20日 (金) 午前10時10分~12時45分、天気 晴れ
2回目 2015年3月  5日 (木) 午前 9時16分~11時26分、天気 晴れ
3回目 2015年3月16日 (月) 午前10時00分~11時45分、天気 曇り
② 結果3つの町ごとの比較で、関連性が認められたのは3回目調査 (3/16)でした。

1回目調査 (2/20)

千人対PM2.5
万福寺8.755.1
百合丘6.955.7
千代ヶ丘4.783.3

2回目調査 (3/5)

 千人対PM2.5
片平8.605.63
白鳥6.085.10
栗木台3.165.50

3回目調査 (3/16)

千人対PM2.5
白山8.4648.7
王禅寺東 5.1948.1
虹ヶ丘2.2945.7
麻生区グラフ
C. 麻生区 ― その2
① 調査日2016年2月23日(火) 午前10時15分~15時45分、天気 曇り
2016年2月24日(水) 午前10時37分~16時03分、天気 曇りのち一時晴れ
② 結果五力田・片平地区はPM2.5とNO2の両方とも関連性が認められましたが、千代ヶ丘・万福寺地区ではNO2との間で認められました。

・2/23 (人口千人対、μg/m3)

・2/24 (人口千人対、NO2はppb)

・2/23 (人口千人対、μg/m3)

・2/24 (人口千人対、NO2はppb)

(6). 汚染とみどりの多少に関する調査

① 調査日川崎区 2015年7月 2日(木) 午後1時01分~4時5分、天気曇り(午前中降雨)
中原区 2015年7月 8日(水) 午前8時41分~12時08分、天気曇 一時雨模様
麻生区 2015年7月13日(月)  午前9時53分~午後5時47分、天気晴れ
② 結果高木の樹木等纏った緑があるCランクや緑の特別地区等があるDランクの地点は、AランクやBランクに比べて、PM2.5の濃度が低い傾向が見られました。

(表-1) 区別・各施設の樹林等の多少による、分類ごとの平均濃度 μg/m3 (  )内は測定数

 AランクBランクCランクDランク合計
川崎区17.7 (7)21.7 (6)9.0 (2)(15)
中原区145.5 (7)109.2 (5)126.6 (3)(15)
麻生区7.0 (6)  6.0 (4)5.8 (4)(14)
備考:ランク A-樹林(高木) なし  B-樹林(高木)あり(5~10本位)
   C-纏まった緑(社叢など)がある D-緑の保全地区等がある
川崎区グラフ
中原区グラフ
麻生区グラフ

AとBランクが占める割合
・川崎区 13/15 87%
・中原区 12/15 80%
・麻生区 6/14 43%

また各区ごとに、各宗教施設の平均濃度を出してみると(表-2 )のように、仮説である 神社<寺院<キリスト教会 の傾向が認められたのは麻生区と中原区で、特に前者において明確でした。

(表-2) 区別・各宗教施設ごとの平均濃度  (  )内は最高濃度     μg/m3

 調査日神社寺院キリスト教会
川崎区2015.7.219.4 (32.0)19.0 (30.0)16.2 (31.0)
中原区2015.7.8113.0 (170.0)123.0 (169.0)124.0 (216.0)
麻生区2015.7.136.0 (7.0)6.2 (8.0)8.5 (9.0)
順位
・川崎区 / キリスト教会 < 寺院 < 神社
・中原区 / 神社 < 寺院 < キリスト教会
・麻生区 / 神社 < 寺院 < キリスト教会

(7). 風向による固定や移動発生源による影響調査 〔産業道路周辺・多摩区中野島〕

 A. 産業道路周辺

① 調査地 風向を考慮して、南寄りの時・北寄りの時・静穏時に分け、各3回ずつ実施しました。

イ. 南寄りの時第1回 2017年6月15日(木) 午後14時48分から16時18分   天気 晴れ 
第2回 2017年6月20日(火) 午後13時00分から14時24分  天気 晴れ
第3回 2017年7月0 8日(土) 午後13時14分から14時35分    天気 晴れ
ロ. 静穏時第1回 2017年11月22日(水)  午後13時17分から15時05分   天気 曇り 
第2回 2017年12月05日(火) 午前9時56分から11時43分   天気 晴れ
第3回 2017年12月 10日(日) 午後13時14分から14時35分  天気 晴れ
ハ. 北寄りの時第1回 2017年12月21日(木) 午後12時38分から14時25分  天気 晴れ 
第2回 2018年01月12日(火) 午後11時40分から午後13時30分 天気 晴れ
第3回 2017年01月 16日(火) 午前11時30分から午後13時13分天気 晴れ

② 結果
南よりの風向の時には、全体として汚染が 工場地帯側から内陸市街地側へ上昇する傾向が見られた。7月8日は特にその傾向が強かった。

南よりの風向時のグラフ

静穏時の時は、3回とも工場地帯側・産業道路・内陸市街地側のいずれにおいても、ほぼ同じ濃度であった。特に、道路が高いということはなかった。

静穏時のグラフ

北寄りの時には、全体として産業道路の汚染がやや高い傾向が見られ、工場地帯側がもっとも低かった。工場の影響はあまり見られなかった。

北寄りの風向時のグラフ

〔3回のまとめ〕

3回のまとめグラフ
3回のまとめグラフ
B. 多摩区中野島

2016年8月3日に実施した中野島調査は、沿道 よりも周辺 地区の濃度が高かった。これは何故な のかと、詳しく分析してみました。 その結果、周辺でも東側の濃度が沿道や西側より も高いこと(右表)、また調査時間帯及び前後の川崎 市の速報値による濃度・風向・風速を見ると、臨海 部の工場群からの汚染気団がこの地にも到達してい る可能性があることが分りました。 【多摩へ汚染気団が移動】

中野島地区(8/3)グラフ

(8). 開発地区における調査 〔武蔵小杉地区・川崎区殿町〕

A. 武蔵小杉地区
① 調査日2014年2月17 日(月) 午後2時から6時まで、天候は晴れ
超高層群の地域を、中心地から500m圏と1000m圏について、各5分間の連続測定。
② 結果超高層群地域及び500m圏・1000m圏の、最高値と最低値、平均値は次の通りでした。
最高値最低値平均値
イ超高層群地域21μg/m313μg/m316.9μg/m3
(7地点)(イト-ヨ-カド-前)(クラシックタワ-南)
ロ500m圏24μg/m38μg/m317.8μg/m3
(4地点)(中原区役所)(上丸子山王町)
ハ1000m圏20μg/m39μg/m315.5μg/m3
(6地点)(今井小学校正門)(中原保育園・丸子通さくら公園)

(グラフ)小杉の、地区別測定結果  地区別・平均濃度(μg/m3)と風速(m/s)

小杉の地区別測定結果グラフ
B. 川崎区殿町 (キングスカイフロント地区)

① 調査日

第1回 2018年 9月29日(土) 午前9時30分から10時29分  天気 小雨
第2回 2018年10月3日(水)  午後3時10分から4時20分   天気 曇り
第3回 2018年10月25日(木) 午前9時48分から10時48分  天気 晴れ
第4回 2018年11月 6日(火)  午前10時18分から11時12分  天気 曇り少しの雨 
第5回 2018年11月22日(木) 午後4時40分から  5時39分   天気 晴れ

② 結果

国道側開発地区内部多摩川沿い
第1回39 μg/m329μg/m339μg/m3
第2回131311
第3回131213
第4回323032
第5回373028
(平均)(26.8)(22.8)(24.6)
川崎区殿町測定結果グラフ

Ⅱ. 二酸化窒素

夏と冬の年2回、住民が調査している二酸化窒素の測定については、40周年記念報告集においてもまとめました。今回は、2009年以降の測定結果についてまとめました。

結果については、わずか一日の測定のため必ずしもその年・その月の状況を表しているとは言えませんが、全般的にはわずかながら濃度は低下してきていると云えます。6月と12月では、12月の方が高い傾向にありますが、最近少し上昇しています。区別にみると、川崎区の改善が遅れています。

市内1キロメッシュのまとめ (単位はppm、日平均値)
ア.

区名川崎中原高津宮前多摩麻生全市〈地点数〉
09年6月0.0520.0380.0330.0260.0550.0290.0230.03〈102〉
10年6月0.0400.0400.0390.0300.0550.0280.03〈103〉
11月6月0.0430.0400.0370.0360.036 0.0250.0180.027〈96〉
12年6月0.0480.0350.0250.0200.0230.0280.0170.027〈98〉
13年6月0.0430.0440.0310.0290.0190.0220.0190.023〈90〉
14年6月0.0500.0310.0320.0270.0210.0300.0170.028〈92〉
15年6月0.0440.0330.0320.0280.0430.0250.0160.030〈100〉
16年6月0.0500.0310.0320.0270.0210.0300.0170.028〈94〉
17年6月0.0370.0120.0100.0110.0140.0150.0060.014〈89〉
18年6月0.0430.0240.0120.0150.015(0.015)0.0120.018〈83〉

イ.

09年12月0.0380.0360.0330.0290.0450.0350.0270.035〈94〉
10年12月0.0590.0340.0390.0400.0600.0460.0340.040〈99〉
11年12月0.0310.0290.0270.0390.0420.0250.0190.030〈104〉
12年12月0.0330.0320.0310.0270.0440.0320.0220.031〈99〉
13年12月0.0550.0460.0380.0380.0290.0440.0370.041〈96〉
14年12月0.0410.0300.0280.0260.0360.0290.0210.029〈102〉
15年12月0.0280.0180.0210.0210.0320.0150.0100.019〈92〉
16年12月0.0420.0330.0270.0290.0150.0300.0200.027〈93〉
17年12月0.0560.0530.0320.0390.043(0.045)0.0290.041〈87〉
18年12月
6月グラフ
(6月)
12月グラフ
(12月)

③ 全市の6月と12月の推移

全市の6月と12月の推移グラフ

参考

① 二酸化窒素の測定
夏季6月・冬季12月の任意な一日24時間値、1キロメッシュ
(但し1987年・1990年の川崎区・幸区・中原区は500m)

夏季6月

 川崎区幸区中原区高津区宮前区多摩区麻生区全市地点数
19870.0590.0510.040    0.048129
1990         
1995         
2000         
20050.0450.039 0.0380.0340.0320.0340.03863
20100.0400.0400.0390.0300.0550.0280.03881
20150.0440.0330.0320.0280.0430.0250.0160.030100
20180.0430.0240.0120.0150.015(0.015)0.0120.01883

冬季12月

 川崎区幸 区中原区高津区宮前区多摩区麻生区全市地点数
19870.1010.0650.060   124
19900.1460.0940.0580.0750.0750.0270.0270.092160
1995       
20000.0590.0590.052(0.034)0.0500.05451
20050.0580.0560.0550.0590.0590.05767
20100.0590.0340.0390.0400.0600.0460.0340.04099
20150.0280.0180.0210.0210.0320.0150.0100.01992
2018       

Ⅲ. 放射線量の調査

2011年3月11日、東日本大震災に伴い東電福島第1原子力発電所で原子炉の相次ぐ重大事故-(3/12) 1号機水素爆発、(3/14)3号機水素爆発、(3/15)2号機爆発・大量流出など-が発生しました。私たちは、これら放射線量が川崎にも到達したことをふまえ、その後、以下のように市内全域で実態調査を実施してきました。

(1) 調査年月

  • 2012年3月~7月  全市7区、33+18+17+17+18+15+12  合計130地点
  • 2013年7月     川崎区と幸区、33+18    合計51地点
  • 2014年 3月        川崎区・幸区・高津区、19+18+17    合計54地点
  • 2016年3月     全市7区、各区5(宮前区4)    合計34地点

調査は、川崎市から貸りた「シンチレ-ション式簡易放射線測定器」(PA-1000Radi)を用い、地上5cmと100cm高さでそれぞれ実施しました。結果については都度記者会見で公表、新聞記事等を通じ市民に知らせてきました。

(2) 調査結果
ここでは、2016年3月16日に公表した「東電福島第1原発事故5年後の調査結果」の一部について掲載します。

① 区別測定結果
全市の平均は地上5cmで0.065μSv/h、地上100cmで0.059μSv/hでした(表-2)。区別にみると、地上5cmで一番高かったのは川崎区、続いて麻生区・多摩区の順でした。また、地上100cmでは多摩区と麻生区が一番高く、続いて川崎区の順でした。

(表-1)

川崎区幸区中原区高津区宮前区多摩区麻生区全市平均
地上5cm0.0710.0650.0620.0580.059 0.0680.0690.065
地上1m0.0610.0600.0600.0580.051 0.0630.0630.059
地上5cm測定グラフ
地上100cm測定グラフ

② 2012年調査との比較
今回の結果を、事故翌年の4年前の調査と比べると、(表-3)のようにその減少の割合は、地上5cmで約17%の減、地上100cmでは約16%の減でした。区別にみると、市の南中部では一定程度減少していましたが、北部の多摩区や麻生区の減少幅は少なめでした。

(表-2)  事故1年後、2012年調査結果との比較 (減少率 %)               (μSv/h)

調査年川崎区幸区中原区高津区宮前区多摩区麻生区全市平均
地上 2012年0.0900.0840.0820.0860.0570.0720.0750.078
5cm2016年0.0710.0650.0620.0580.0590.0680.0690.065
(減少率)(78.9)(77.4)(75.6)(67.4)(103.5)(94.4)(92.0)[83.3]
地上2012年0.0790.0760.0670.0690.0550.0690.0720.070
100cm2016年0.0610.0600.0600.0580.0510.0630.0630.059
(減少率)(77.2)(78.9)(89.6)(84.1)(92.7)(91.3)(87.5)[84.3]

地上5cm

2012年と2016年の地上5cmの推移グラフ

地上100cm

2012年と2016年の地上100cmの推移グラフ