9.三宅川崎市会議員の「捏造公害」・「捏造公害史観」とは何か

  このことについて、教宣資料のリ-フレット作成並びに市への要請をしましたので、

   次に紹介します。

シリ-ズ/川崎の公害環境行政NO.18

誤まった大気汚染改善論・住民運動敵視・革新市政攻撃・「捏造公害史観」

 性懲りない 三宅市議の“質問”   

令和6年川崎市議会決算審査特別委員会(9/24)における発言について

             

        【写真省略】  いまも出現、分厚いスネッグ層  市役所展望階から(2024/12/3)                                                             

                                                             

   2025年1月    川崎から公害をなくす会   〒210-0006 川崎区砂子2-8-1-512

公害環境対策は イメ-ジや偏見では進まない

残念なことに、多摩区選出の三宅隆介市議が約10年前からくり返し、病苦を押して川崎から公害をなくそうと、運動している公害被害者や住民団体を敵視、またかつての革新市政への攻撃を行っています。今回も、自分に都合のよい資料を引っ張り出して、高濃度時期の「昭和44年当時のSOxは他都市並みに改善されていた」と主張。川崎の公害イメ-ジの払拭が必要であり、「伊藤市長が作った公害防止条例で公害が克服したかのような歴史観は ”捏造公害史観”だ」とまで言い切っています。しかし「捏造公害史観」は、どうやらご自分のことを指しているのではないのか。見逃しておけない数々の暴言なので、若干の反論をしておきます。 (神戸)              

 『昭和44年度には、硫黄酸化物濃度が他都市並みに改善。これは革新市政以前の国の法律によるもの』 という欺瞞

まず、川崎市の環境保全課長が答弁に引用した資料は昭和46年版厚生白書だった。ここでは、いおう酸化物濃度が市内で高かった大師の年平均測定値が、昭和42年度0.10ppm、昭和43年度0.07ppm、昭和44年度0.06ppmであったとする。しかし川崎市環境総合研究所の報告書では、一番高かったのは、それぞれ年度ごとに0.100ppm、0.084ppm、0.082ppmとなっている(但し43・44年度は田島)。「最大汚染地点」と言いながら、自分に都合の良いデ―タを引用しているのは明らかだ。そして、市条例ではなく国の法律によって、いおう酸化物濃度が改善されたと言いながら、例えば同じ厚生白書が載せている、東京・糀谷の測定値が昭和42年度0.064pm、昭和43年度0.080ppm、昭和44年度0.085ppm、また大阪・淀中が夫々0.080ppm、0.055ppm、0.083ppmとなっている等については説明がない。これらの都市では、改善どころか悪化しているのだ。国の法律の適用は、川崎市だけに適用されるものではなく全国に共通したものだ。    

・いおう酸化物の濃度が最も高かった測定値 (年平均値)

 昭和42年度昭和43年度昭和44年度
厚生白書0.10ppm0.07ppm0.06ppm
川崎市の大気環境0.100ppm0.084ppm0.082ppm

当時から住民運動が進められてきた

はっきり言って、昭和42年度から44年度にかけて川崎のSOx汚染の改善傾向が見られるようになったのは、まさに昭和40年代当初からの住民の公害反対運動の盛り上がりが大きかったからだ。川崎から公害をなくす会(昭和44年5月)の活動、その前身の川崎医療生協公害対策委員会(同41年5月)は、その当時、工場見学や街頭宣伝・大気汚染測定活動・健康調査、市や議会への要請・請願などの運動を活発に展開し、市民の啓発にも努めた。   〈下は当時の活動から/工場見学・汚染調査・街頭署名〉

                                                                     

          【写真省略】                                            

                                         

市制100周年記念誌 「カワサキシノコト」 に、革新市政による公害防止条例(昭和47年)によって公害が克服されたかのように書かれているのは 『捏造公害』 だ

川崎市の100周年記念誌には、国に先駆けて条例を定めた行政の取り組み等が書かれている。これは、極めて自然で適切な記事です。革新市政による公害対策が中核となって、硫黄酸化物の汚染はその後年々減少、昭和55年初に全市で環境目標値が達成された。他方三宅市議は、これらの事実をもって議会で「捏造公害」だ、これに川崎市があおっているのは「捏造公害史観」だとも言っている。しかし、これは自らに降りかかる言葉だ。何故なら、川崎市や各都市のSOx濃度の推移に年平均値を使いながら、環境基準は日平均値を使って、「革新市政が誕生した時には大気汚染は改善されていた」などと、でたらめな質問をし市民をだまそうとしているのだから。

 ・・・三宅市議の活動をより理解するために・・・  〈三宅隆介市議の政治姿勢〉 同市議の市政レポ-トVOL.47より

○「革新市政」とは旧ソ連や北朝鮮を理想郷とした市政のことだった  ○ 公害をことさらに捏造する勢力の存在がまちの発展を阻む  ○「革新市政」によって作られた利権化・特権化した制度や補助金を廃することが川崎再生の基本条件  

『要するに、川崎市は物理的に公害になったんじゃなく、政治的喧伝によって公害にされた』 『川崎市が公害のまちであるんだったら、隣の横浜市だって東京だって公害のまちと言われなきゃいけない』

 これが三宅市議の議会質問の要約だと、本人が言っている。公害の存在や歴史を否定したら、川崎市の公害行政は成り立たないし、企業・事業所の公害対策も必要でなかったことになる。また学校の公害教育もしなくても良かったことになりはしないか。瀋陽市への研修支援等は何だったのか。こうした言動は、川崎の未来に対して危険であり有権者も、真剣に考える必要があると思う。

   –川﨑から公害をなくす会の立場– 公害はSO2のみではない、ますます深刻化し拡大している!

 川崎の大気汚染公害は、被害を含めて未解決です。窒素酸化物は改善傾向にあるとはいえ、市の環境目標値は未達成、WHOが示す指針値には遠く及ばない。光化学オキシダント・微小粒子状物質・酸性雨などの問題も残されています。そして現在、最大の公害が二酸化炭素(CO2)、温暖化は年々深刻化し、被害も増加しています。行政も企業も、もっと責任を果たしてもらわなければなりません。

  • 2023年度 二酸化窒素の測定結果 省略
  • 市内の気管支喘息患者数の推移(人) 省略    熱中症被害者数の推移(人) 省略       

                           

川崎市総務企画局シティプロモ―ション推進室 御中

川崎市環境局環境対策部 御中

     2025年1月10日                      川崎から公害をなくす会   会長 神戸 治夫                      川崎市川崎区砂子2-1-8- 512

市制100周年記念誌に係る三宅市議による暴言に対し適切な対応を求めます(要請)

前略、多摩区選出の三宅隆介市会議員が、市制100周年記念誌「カワサキノコト」の中の環境部分(18頁)に対して、昨年9月24日の市議会の質問において「捏造公害が書かれている」、「こういう捏造公害史観をあおっているのは」川崎市の責任だなどと、長い間市政に関わってきた私たちとって、とうてい無視できない許しがたい暴言を吐いています。私たちは、議員の質問のみに答えるものという行政の姿勢は理解しますが、市は即座に反論すべきであったと考えます。次に、何が問題なのかを記します。

  • 同市議は、捏造公害だと述べる根拠として、二酸化硫黄の年平均値の推移をみると、昭和44年度の段階で他都市並みに改善されている、「伊藤市長さんが市長になられた時点では、もう川崎市は基準値を下回っているんですよ」と言っています。同市議は、これをグラフを使って説明したようですが、これが全くの嘘・でたらめであることは、少しでも公害行政に理解のある者ならばわかることです。環境基準が達成されたのは、記念誌に明記されているように、昭和54年のことであり伊藤市長誕生(同46年)前のことではない。同市議はあくまでも革新市政攻撃に固執するあまり、年平均値の推移を日平均値の環境基準値を当てはめるという「いかさま」をやっているのです。
  • 前項にかかわって、「昭和44年度の段階で他都市並みに改善されている」のも、伊藤市長時代の総量規制を盛り込んだ公害防止条例でなく、国の法律によるものだというのも詭弁。厚生白書の数値のみを金科玉条にし、環境総合研究所のデ―タを無視する。また東京や大阪など、昭和42年度から44年度にかけ悪化している都市もあるのに、まったく説明できていない。同市議は、まさか国の法律は、川崎市だけに適用されるものとでも考えているのでしょうか。
  • 法律や条例をもとに業務を行っている地方公共団体が、公害を捏造したりそうした歴史観を持つなどということは、とうてい考えられない。実際に、二酸化硫黄の環境基準(環境目標値)が達成されたのは昭和54年のことであるのに、昭和44年度、また伊藤市長誕生前だったと主張している者こそ「捏造公害史観」の保有者ではないのか。
  • 公害は、二酸化硫黄だけであるかのように見なしているのも間違いの元です。他の窒素酸化物や微小粒子状物質・光化学オキシダント、二酸化炭素など気候変動物質、また最近の各種の基準の厳格化の動き、そして何よりも公害被害の実態について考慮すべきです。

 いずれにせよ、「捏造公害史観をあおっている」などと言われて、川崎市が沈黙しているようでは、市民への責任を果たせません。かかる暴言によって、行政のみならず、市議会の権威をもけがし傷つけているのだから善処していただきたい。 なお都市イメ―ジをめぐっては、公害環境行政は市民の「感覚」に頼ることなく、あくまでも科学的な実態調査を基本に、さらに生命と健康をまもる施策をすすめてもらいたい。